維新政党日本

我が国日本の真正なる独立を目指します。

いまが独立への最後のチャンスだ

思うに、戦後我が国がアメリカから独立するチャンスは三回あった。一つ目は、サンフランシスコ講和によって我が国が名目上の独立を回復したとき、二つ目は、ニクソンショックによってアメリカの覇権が相対的に衰退した時、そして三回目は、米ソ冷戦の終結時である。

サンフランシスコ講和で米国による占領統治が解除された時点で、我が国は占領下で制定された憲法を廃して、大日本帝国憲法を復活するか、国体に根差した自主憲法を制定すべきであった。またニクソンショックに際しても、我が国は世界的な米軍撤退の気運に乗じて、沖縄海兵隊自衛隊戦力で代替し、自主防衛に舵を切るべきであった。そして米ソ冷戦の終結は、ソ連という共通の敵の消滅によって、我が国がアメリカから独立する最大のチャンスであった。

しかし、一回目と二回目のチャンスは、米ソ冷戦下における国際共産主義の脅威を理由に見送られ、三回目も、冷戦が終わったのでようやく独立できるかと思いきや、今度は日本を、ソ連なきあとの仮想敵に据えたアメリカによる対日攻勢が苛烈化し、我が国は今日に至る際限のない対米従属の深みにはまってしまった。

こうしたなかで、世界覇権を放棄しようとしているトランプ大統領が出現したことは、我が国にとって天佑神助であり、独立のための最後のチャンスかもしれない。もしいま、このチャンスを活かして、米軍に替わる抑止力を構築しておかなければ、東アジアの覇権はシナに掌握され、我が国はシナをアメリカに次ぐ新たな宗主国として迎えざるを得ないことになる。シナの脅威を理由に、アメリカへの従属を正当化するのは、国民を欺く売国奴の論法だ。否、シナの侵略を絶対に阻止するためにこそ、いまこそアメリカから独立せねばならないのである。

敗戦から真の終戦へ

本日八月十五日は、終戦ならぬ敗戦の日である。靖国の英霊に衷心より哀悼の誠を捧げます。改めて終戦詔書を拝し、我が国は連合国に対して、決して無条件降伏したのではないという事だけははっきりさせておきたい。それはあくまで国体を護持しうるという条件の下で受け入れられた有条件降伏であり、だからこそ、「敗戦」ではなく「終戦」なのである。しかるに戦後我が国はアメリカによって酷い仕打ちを受けた。象徴天皇主権在民政教分離戦争放棄、侵略史観、それらはことごとく国体の尊厳を冒涜し、否定し去るものであった。かくして我が国は、名実共に敗戦国となったのである。敗戦から七十三年が経った。三十年にわたった平成の御代の内に、敗戦の屈辱を拭い去ることが出来なかったことは、陛下に対し奉り、臣下として誠に申し訳ない事である。来年始まる新たな御代では、必ずや国体を顕現し、敗戦から真の終戦を迎える、本日はその誓いの日としたい。

安倍首相に種子法復活を求める要望書を提出

平成三十年七月二十六日、「安倍首相に種子法復活と併せて必要な施策を求める有志一同」が、安倍首相宛てに、以下の様な要望書を提出しましたので、ご紹介いたします。なお、賛同者連名は五十音順です。いまこそ、真正保守派が種子法復活、新自由主義的農業改革反対の狼煙を上げるときです。

「種子法(主要農作物種子法)廃止に抗議し、同法復活と併せて必要な施策を求める要望書」

 今年(平成三十年)四月、安倍内閣によって種子法(主要農作物種子法)が廃止された。この種子法は、米麦大豆などの主要農作物の種子の生産と普及を国と県が主体になって行うことを義務付けた法律である。この法律のもとで、これまで国が地方交付税等の予算措置を講じ、県が種子生産ほ場の指定、生産物審査、原種及び原原種の生産、優良品種の指定などを行うことによって、良質な農作物の安価で安定的な供給に寄与してきた。
 しかし、安倍首相は、この種子法が、民間企業の公正な競争を妨げているとの理由で、突如廃止を言い出し、国会での十分な審議も経ぬまま、昨年三月可決成立させてしまった。
 今後種子法廃止によって、外資を含む種子企業の参入が加速し、種子価格の高騰、品質の低下、遺伝子組み換え種子の流入による食物の安全性への不安、長年我が国が税金による研究開発で蓄積してきた種子技術の海外流出、県を主体にすることで維持されてきた種子の多様性や生態系、生物多様性への影響など、数多くの弊害が危惧されている。
 こうした懸念を受けて、「種子法廃止法案」では、付帯決議として「種苗法に基づき、主要農作物の種子の生産等について適切な基準を定め、運用する」「主要農作物種子法の廃止に伴って都道府県の取組が後退することのないよう、・・・引き続き地方交付税措置を確保し、」「主要農作物種子が国外に流出することなく適正な価格で国内で生産されるよう努める」「消費者の多様な嗜好性、生産地の生産環境に対応した多様な種子の生産を確保すること。・・・特定の事業者による種子の独占によって弊害が生じることがないように努める」ことなどが記されているが、どれも努力義務で法的強制力はないばかりか、早くも政府は、この付帯決議の主旨に逆行する政策を推し進めている。
 特に、政府が種子法廃止の翌月に成立させた、「農業競争力強化支援法」には、「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」とあり、我が国が長年、税金による研究開発で蓄積してきた「種苗の生産に関する知見」を民間企業に提供することが記されている上に、この「民間事業者」には国籍要件がないため、海外のグローバル種子企業に種子技術が流出し、生物特許による種の支配を通じて我が国の農業がコントロールされかねない。なかでも、世界最大のグローバル種子企業であるモンサントが販売する遺伝子組み換え(GM)種子は、発がん性など、安全性が疑問視されており、国民の健康に及ぼす被害は計り知れない。
 上述の通り、安倍首相は、種子法が民間企業の公正な競争を妨げているとの理由で廃止したが、すでに政府は、平成十九年(二〇〇七年)に行われた規制改革会議・地域活性化ワーキング・グループの民間議員から、同様の指摘がなされたのに対して、「本制度が(民間による)新品種の種子開発の阻害要因になっているとは考えていない。」と答弁している。ところがその後、認識を変えたのは、規制改革推進会議の強い政治的圧力が負荷されたためである。すなわち、平成二十八年(二〇一六年)九月に行われた規制改革推進会議の農業ワーキング・グループで「民間企業も優れた品種を開発してきており、国や都道府県と民間企業が平等に競争できる環境を整備する必要がある」という提言がなされ、さらに翌十月には、「関連産業の合理化を進め、資材価格の引き下げと国際競争力の強化を図るため」、「戦略物資である種子・種苗については、国は国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」として突如廃止の決定がなされたのである。
 問題なのは、この種子法廃止を決定した規制改革推進会議は、単なる首相の一諮問機関に過ぎないにも関わらず、公共政策の決定に関して不当に過大な影響力を及ぼしている事である。特に同会議を構成するメンバーは、一部の大企業やグローバル資本の利益を代弁した民間議員であり、農業問題に関しては「素人」を自称しており、食糧安保や国土保全といった農業の持つ多面的機能への視点が欠落している。従来、農業問題に関しては、農水省が設置し、農業問題の専門家からなる「農政審議会」が審議したが、安倍内閣が創始した内閣人事局制度のもとで、各省が官邸に従属しているとも言われている。
 さらに問題なのは、この規制改革会議による種子法廃止は、農協の解体を始めとする、安倍内閣による一連の新自由主義的な農業改革の一環であり、その背景には、アメリカ政府やグローバル企業による外圧の存在があることである。我が国における農業分野での規制改革は、アメリカがクリントン政権以降の「年次改革要望書」のなかで繰り返し要求して来たが、平成二十四年(二〇一二年)に第二次安倍内閣が発足すると、この動きは加速した。平成二十六年(二〇一四年)一月に安倍首相がスイスのダボス会議で規制改革を国際公約した同年五月、在日米国商工会議所(ACCJ)は、「JAグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資する形で組織改革を行うべき」との意見書を提出すると、それに歩調を合わせたかのように、政府は「規制改革実施計画」を閣議決定して農協改革を強行した。ACCJはアメリカ政府と企業の代弁機関であり、彼らの狙いは、農業での規制緩和による米国企業の商機拡大と、農協が有する360兆円もの金融資産の収奪に他ならない。このような米国政府やACCJによる外圧は、我が国に対する内政干渉であり主権侵害である。
 前述したように、安倍首相は、種子法の存在が、民間企業による公正な競争を妨げ、我が国農業の国際競争力を損なっているとしたが、現状の政府による農家への過少保護政策(例えば、農業所得に占める政府の直接支払割合(財政負担)は、我が国が15・6%に過ぎないのに対して、アメリカは26・4%であるものの、小麦は62・4%、コメは58・2%にも上る。さらにフランスは90・2%、イギリスは95・2%、スイスは94・5%にも及び、欧米に比して極端に低い)を差し置いてそのような主張をするのは全くの筋違いである。
 古来、我が国は、「葦原の瑞穂の国」と称され、農業、とりわけ自国民の主食を生み出す稲作を立国の根幹に据えてきた。そのことは、天照大神天孫瓊瓊杵尊の降臨に際して、皇位の御徴である三種の神器と共に、「斎庭の稲穂」を授けられ、いまも今上陛下は、毎年の新嘗祭において、新米を天照大神に捧げられ、五穀豊穣を感謝されていることにも象徴的に示されている。特に安倍首相は、平成二十四年(二〇一二年)の政権奪還時に、「ウォール街の強欲資本主義」に対して「瑞穂の国の資本主義」を掲げながら、いまでは新自由主義的な農業改革を推進し、その一環である種子法廃止は、「瑞穂の国」を破壊する売国的所業である。

以上の趣旨に基づき、安倍首相に対して以下の通り要望する。

一、安倍首相は、速やかに種子法を復活し、優良で安価な農作物の安定供給を確保すること。また、先般野党が共同提出した種子法復活法案を成立させること。
一、安倍首相は、アメリカやグローバル企業の利益を代弁した規制改革推進会議を即刻廃止すること。
一、安倍首相は、二〇一三年に生物特許を禁止したドイツの例に倣い、遺伝子組換え種子に対する生物特許を禁止すること
一、安倍首相は、家畜飼料を含む全ての遺伝子組み換え食品への表示を義務化し、意図しない混入率をEU並の0・9%(我が国は5%)未満へと厳格化すること。
残念ながら我が国では「消費者基本法」において、消費者に必要な情報が提供される権利が保障されているにもかかわらず、調味料など、組み換え遺伝子とそれによって生成したタンパク質が含まれない食品への表示義務はなく、主な原材料(重量の多い順で上位三位以内、かつ全重量の5%以上)にしか表示義務がない。また遺伝子組み換え作物の最大の用途である家畜飼料にも表示義務がない。

右、強く要望する。

平成三十年七月二十六日
安倍首相に種子法復活と併せて必要な施策を求める有志一同
(千葉県浦安市当代島一―三―二九アイエムビル5F)

(代表)
折本龍則
坪内隆彦
小野耕資

(賛同者)
稲村公望
加藤倫之
四宮正貴
高橋清隆
田母神俊雄
西村眞悟
原嘉陽
福永武
前澤行輝
三浦颯
三浦夏南
南出喜久治
村上利夫

         内閣総理大臣 安倍晋三殿

http://asiarestoration.com/wp-content/uploads/2018/07/種子法要望書(最終).pdf

剥き出しの資本主義から文化的生活を守れ

   もはや我が国は、戦後の経済成長至上主義の限界に直面している。本来ならば、その転換期は、東西冷戦の終結、そしてバブル崩壊によって訪れる筈であったが、我が国の政策当事者は、成長主義や利益至上主義への反省よりも、経済停滞の原因を我が国特有の社会経済システムそれ自体の非競争的な「構造」に求め、新自由主義構造改革論に傾斜することによって、資本主義の制度的抑制ではなく、むしろ剥き出しの資本主義であるところの市場原理主義に突き進んでいった。そのなりの果てが、もはや事実上の移民大国と化した今日の日本である。資本主義を延命する為に消費需要を外国人頼みにし、生産においても、もはや技能実習生や留学生無しには成り立たなくなってしまった。

   今日における経済のデフレ収縮は、景気循環の問題ではなくて、根本的に消費社会や近代資本主義そのものの限界による生産と消費の行き詰まりを意味しているのであって、これを第4次産業革命だの空虚なスローガンで糊塗し、外国人やAIで弥縫した所で何の解決にもならない。まるでガンの進行を放射線治療で遅らせているだけだ。いま我々がしなければならないのは、戦後の成長至上主義の延命弥縫ではなくて、成長至上主義そのものからの脱却であり、資本主義への制度的統制による文化的生活の防衛である。人は朝起きて夜寝る。この最低限の生活すらままならない社会を変えなければならない。贅沢は申すまい。ただせめて紀元節天長節くらいは全ての労働者が働くのを止めて、皇室の弥栄を祈願しようではないか。我々日本国民は天皇の民として、国体を謳歌し、文化的生活を営む権利があるのだから。

【意見】安倍首相は速やかに種子法を復活し、規制改革会議を廃止せよ!

   今年(平成三十年)四月、安倍内閣によって種子法(主要農作物種子法)が廃止された。この種子法は、米麦大豆などの主要農作物の種子の生産と普及を国と県が主体になって行うことを義務付けた法律である。この法律のもとで、これまで国が地方交付税等の予算措置を講じ、県が原種と原原種の生産に必要なほ場を厳格に管理し、優良品種を奨励品種として指定し普及させることなどによって、良質な農作物の安価で安定的な供給に寄与してきた。

 しかし、安倍首相は、この種子法が、民間企業の公正な競争を妨げているとの理由で、突如廃止を言い出し、国会での十分な審議も経ぬまま、昨年三月可決成立させてしまった。

 今後種子法廃止によって、外資を含む種子企業の参入が加速し、種子価格の高騰、品質の低下、遺伝子組み換え種子の流入による安全性への不安、長年我が国が税金による研究開発で蓄積してきた種子技術の海外流出、県を主体にすることで維持されてきた種子の多様性や生態系への影響など、数多くの弊害が危惧されている。

 こうした懸念を受けて、「種子法廃止法案」では、付帯決議として「種苗法に基づき、主要農作物の種子の生産等について適切な基準を定め、運用する」「主要農作物種子法の廃止に伴って都道府県の取組が後退することのないよう、・・・引き続き地方交付税措置を確保し、」「主要農作物種子が国外に流出することなく適正な価格で国内で生産されるよう努める」「消費者の多様な嗜好性、生産地の生産環境に対応した多様な種子の生産を確保すること。・・・特定の事業者による種子の独占によって弊害が生じることがないように努める」ことなどが記されているが、どれも努力義務で法的強制力はないばかりか、早くも政府は、この付帯決議の主旨に逆行する政策を推し進めている。

 特に、政府が種子法廃止の翌月に成立させた、「農業競争力支援法」には、「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」とあり、我が国が長年、税金による研究開発で蓄積してきた「種苗の生産に関する知見」を民間企業に提供することが記されている上に、この「民間事業者」には国籍要件がないため、海外のグローバル種子企業に種子技術が流出し、生物特許による種の支配を通じて我が国の農業がコントロールされかねない。なかでも、世界最大のグローバル種子企業であるモンサントが販売する遺伝子組み換え(GM)種子は、発がん性など、安全性が疑問視されており、国民の健康に及ぼす被害は計り知れない。

 上述の通り、安倍首相は、種子法が民間企業の公正な競争を妨げているとの理由で廃止したが、すでに政府は、2007年に行われた規制改革会議・地域活性化ワーキング・グループの民間議員から、同様の指摘がなされたのに対して、「本制度が(民間による)新品種の種子開発の阻害要因になっているとは考えていない。」と答弁している。ところがその後、認識を変えたのは、規制改革推進会議の強い政治的圧力が負荷されたためである。すなわち、16年9月に行われた規制改革推進会議の農業ワーキング・グループで「民間企業も優れた品種を開発してきており、国や都道府県と民間企業が平等に競争できる環境を整備する必要がある」という提言がなされ、さらに翌10月には、「関連産業の合理化を進め、資材価格の引き下げと国際競争力の強化を図るため」、「戦略物資である種子・種苗については、国は国家戦略・知財戦略として、民間活力を最大限に活用した開発・供給体制を構築する。そうした体制整備に資するため、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法は廃止する」として突如廃止の決定がなされたのである。

 問題なのは、この種子法廃止を決定した規制改革会議は、単なる首相の一諮問機関に過ぎないにも関わらず、公共政策の決定に関して不当に強大な影響力を及ぼしている事である。特に同会議を構成するメンバーは、一部の大企業やグローバル資本の利益を代弁した民間議員であり、農業問題に関しては「素人」を自称しており、食糧安保や国土保全といった農業の持つ多面的機能への視点が欠落している。従来、農業問題に関しては、農水省が設置し、農業問題の専門家からなる「農政審議会」が審議したが、安倍内閣が創始した内閣人事局制度のもとで、各省が官邸に従属しているとも言われている。

 さらに問題なのは、この規制改革会議による種子法廃止は、農協の解体を始めとする、安倍内閣による一連の新自由主義的な農業改革の一環であり、その背景には、アメリカ政府やグローバル企業による外圧の存在があることである。我が国における農業分野での規制改革は、アメリカがクリントン政権以降の「年次改革要望書」のなかで繰り返し要求して来たが、2012年に第二次安倍内閣が発足すると、この動きは加速した。14年1月に安倍首相がスイスのダボス会議で規制改革を国際公約した同年五月、在日米国商工会議所(ACCJ)は「JAグループは、日本の農業を強化し、かつ日本の経済成長に資する形で組織改革を行うべき」との意見書を提出すると、それに歩調を合わせたかのように政府は「規制改革実施計画」を閣議決定して農協改革を強行した。ACCJはアメリカ政府と企業の代弁機関であり、彼らの狙いは、農業での規制緩和による米国企業の商機拡大と、農協が有する360兆円もの金融資産の収奪に他ならない。このような米国政府やACCJによる外圧は、我が国に対する内政干渉であり主権侵害である。

 前述したように、安倍首相は、種子法の存在が、民間企業による公正な競争を妨げ、我が国農業の国際競争力を損なっているとしたが、現状の政府による農家への過少保護政策(例えば、農業所得に占める政府の直接支払割合(財政負担)は、我が国が15・6%に過ぎないのに対して、アメリカは26・4%で、特に小麦は62・4%、コメは58・2%にも上る。さらにフランスは90・2%イギリスは95・2%、スイスは94・5%にも及び、欧米に比して極端に低い)を差し置いてそのような主張をするのは全くの筋違いである。

 古来、我が国は、「葦原の瑞穂の国」と称され、農業を立国の根幹に据えてきた。そのことは、天照大神天孫瓊瓊杵尊の降臨に際して、皇位の御徴である三種の神器と共に、「斎庭の稲穂」を授けられ、いまも今上陛下は、毎年の新嘗祭において、新米を天照大神に捧げられ、五穀豊穣を感謝されていることにも象徴的に示されている。特に安倍首相は、2012年の政権奪還時に、「ウォール街の強欲資本主義」に対して「瑞穂の国の資本主義」を掲げながら、いまでは新自由主義的な農業改革を推進し、その一環である種子法廃止は、「瑞穂の国」を破壊する売国的所業である。よって安倍首相はいまこそ、自らの政策的過ちを認めて種子法を復活し、優良で安価な農作物の安定供給を確保すると共に、アメリカやグローバル企業の利益を代弁した規制改革会議は即刻廃止すべきである。

種子法廃止緊急セミナー@浦安が開催される

平成三十年三月三十一日、浦安市内で「種子法廃止緊急セミナー」が開催された。講師の坪内隆彦氏(月刊日本編集長)が、安倍政権が行った種子法廃止の問題点について講演を行った。講演の要旨は以下の通り。

本日三月三十一日を以て「種子法」の効力が消える。「お種子法」とは、各都道府県が米をはじめとした作物のタネについて、責任を以て開発、維持管理するというものだ。この法律が廃止されたことにより、都道府県が予算、人員等を割く法的根拠が消失した。これは安倍政権のグローバル企業優遇、大企業優遇の農業政策の氷山の一角であり、漁業なども併せてグローバル企業優遇、大企業優遇が規制改革、成長戦略の名を以て行われている。

都道府県が米をはじめとした作物のタネについて、責任を以て開発、維持管理することに対して、農水省は十年前、民間の参入を妨げる者ではないという見解を出していた。ところが今回はそれを翻し、規制廃止に同調した形となる。現在、三百種米の品種のタネが保存管理されているが、今後は民間企業の効率化、市場の論理により品種が少なくなることが想定される。そうなると気候変動や害虫の増加などの異常事態に対応できなくなる。

また、種子法廃止後実際にタネの育成を民間が担うわけだが、「民間」とは実質的に世界最大の種子企業モンサントである(わが国では住友化学モンサントのパートナーとなっている)。モンサントベトナム戦争の際に枯葉剤を開発したことでも知られる「世界最悪の企業」「モンサタン」とも呼ばれる企業である。種子法廃止の背景には、同社が進める遺伝子組み換え食品事業、ゲノム編集事業を推進する魂胆が伺える。遺伝子組み換えやゲノム編集は本当に安全なのか、まだ科学的結論が出ていない。また、そもそも同社が遺伝子組み換えを進める動機の一つに、同社が開発する強力な除草剤をセット販売することがあり、そうした(発がん性を持つ)除草剤の残留による影響などを考えても大いに「食の安全」に悪影響を及ぼすと考えられる。

安倍政権は内閣人事局で官僚幹部人事に官邸の意向を介入させ、自らの政策に都合の悪い官僚を左遷させ、グローバル資本に便宜を図り続けてきた。現在の農水次官は「農水省はいらない(経産省の一部でよい)」と放言する人物である。国際的な流れとしては、協同組合や家族農業の再評価が進んでいたり、欧州を中心として有機農業へのシフトが進んでいる中、わが国の政策はこうした国際的な流れにも反している。農業は単純に植物を栽培することによる産業というだけでなく、文化や景観の維持、治水など様々な機能を持っている。こうした働きを忘れてはならない。

正直に言って情勢はかなり厳しい段階にあるが、今後反転攻勢に出る手段として、食糧安全保障法を作る、種子条例を各都道府県で作る、種子法廃止違憲訴訟、住民の反対運動などが行われており、そうした動きを進めていく必要がある。その後、質疑応答が行われ、活発な議論、意見交換が行われた。

f:id:jpip:20180406171827j:image